「あんなコソコソ電話して榊田と密会なんて言ったら気になるでしょ?それが、こんな馬鹿げた話だなんて」
「上原。こんな大馬鹿と結婚するのか?」
「本当に、考えちゃうわよ。こんな特大馬鹿だとはね」
瀬戸にさえフォローされない広也は、俺たち三人を涙目で見渡し喚く。
「どういうことだよ!?確実に俊の浮気だろ!?宝石店に女と腕を組んでだぞっ!」
「普通の人なら浮気になるけど、榊田君の場合は、ね?」
瀬戸は、上原に目くばせをしながら、のん気にメニュー表をめくった。
「榊田の全ては小春で構成されてるのに、どこに他の女が入って来るのよ?あんたじゃ、あるまいし」
「まったくだ。何が浮気だ。お前じゃ、あるまいし」
もう、ここは広也の奢り決定だ。
今日はヤケ食いしてやる。
「な、な、な、浮気じゃないのかっ?なら、どうして、あんな場所に美女と」
答えに詰まると、上原はニヤンといつも俺を締め上げる笑みを浮かべた。
「あんた、小春に結婚申し込むつもりだったわけね?」
瀬戸も、苦笑しながら、上原の後に続く。
「榊田君に浮気の可能性は皆無。そうすれば、答えはそれしかないよ」
この二人の頭の回転の速さを広也に半分やりたい。
「プ、プロポーズ……なるほど!いや、小春ちゃんに夢中な俊がおかしいと思ったら、そういうことかっ!しかし、あの美女誰だ?遠目だったが、かなり胸も……」
上原の睨みに広也は言葉を止め、再び俺の腕に絡みついてくる。
俺にはそれを振り払う気力もなかった。

