そんな感じで確信を持てないまま、ゴールデンウィークに入り、水野に会えない記録更新中、広也から電話があった。



「明日?なんだ、急に?」



「別に暇だろ。話があるんだ。小春ちゃんのことで」



「今すぐ話せ。というか、お前、何でひそひそ話してんだ?」



 ぼそぼそと電話越しに息を潜める広也は捕まることを恐れている犯罪者のよう。



「朔がいるんだ。朔に知られるとマズいんだ。明日だ、良いな。じゃあな」



 広也は刑事ではなく上原に怯えていたらしく、俺の返事も聞かずに電話は切られた。


 上原に知られてはいけない、水野のこと?


 避けられているヒントはどうやら広也が持っているらしい。


 やっぱり、避けられていると確信が持てて、何だかため息が出そうになった。














「広也。俺を餌に女を釣るのが目的で呼んだのか?」



 待ち合わせ場所は何とも可愛らしい喫茶店。


 若い女が溢れている。


 そして、若く獰猛で図太い女が声をかけてくる。


 広也がヘラヘラと対応しているのを見ているのも、限界だ。


 そろそろ、首を絞めたくなる。



「やっぱり、お前といるとたくさん女の子が寄ってくるよな~さっきの子なんて、なかなか美人……い、いや、俊、悪かった。許してくれ」



「水野のこと早く話せ」



「まったく、人が少し和ませてからと思ったのに。まぁ、いいや。単刀直入に、小春ちゃんから避けられてるだろ?」



 さっきまでのヘラヘラした広也ではなく真顔の広也。


 こういう広也は俺にとって頼れる存在。