「いや。ほら?来年あたり転勤になりそうだって話しただろ?それで、朔のこと良く知ってるし、結婚しても上手くできそうだと思ってな」
「なるほど。で、何故俺だけに黙ってた?」
知っていたなら、全力で結婚宣言を先送りにしていたのに、広也のやつめ。
俺を餌に女を釣っていた過去を上原にバラしたい衝動に駆られるが上原は知っているな、と思い直す。
「私たちも今初めて聞いたのよ。だから、榊田君が鈍感なだけ!」
「鈍感、鈍感ってうるさい」
しかし、鈍感な水野が気付いて、俺が気付かなかったというのは、かなりショックだ。
「二人ともお似合いにで、いつか絶対付き合うって、小春ちゃんと話してたら、本当になって、少しびっくり」
水野と瀬戸は顔を見合わせ微笑んだ。
「ふーん」
しかし、本当にこのタイミングは勘弁して欲しかった。
無愛想に拍車がかかった俺の相槌と同時にアップルパイとアイスの盛り合わせが置かれる。
そうなれば、目線はアップルパイとアイス。