「榊田君!!もう、本当に失礼!馬鹿!鈍感っ!」



 思いっきり睨み付けて、俺へ説明をしてくれない水野。


 そこを瀬戸がフォローするかのように口を開く。



「朔の結婚相手が広也君なのよ」



「本当に、鈍感!二人とも本当におめでとう」



 俺は呆気に取られ二人を交互に見た。



「……その顔を見ると、俺を担いでるわけではなさそうだな。しかし、お前らが結婚ね」



「何よ。何か、文句ある?」



 いつも通りの強気で喧嘩を売るような口調の上原だが、照れているのがわかり、なかなか気持ち悪い。



「ああ。大ありだ」



 何故、このタイミングで結婚を先に越されてしまうのか。


 前々から温めてきて、ようやく水野の父親からの許可にエンゲージリングまでそろえて、プロポーズだったのに。


 これでは、広也たちに触発されて、結婚したいみたいに思われるではないか。



「広也。上原と付き合ってるなんて聞いたことないぞ。結婚なんて血迷ったか?」



 先を越された恨みを別の形でぶつけてやった。


 とは言っても水野と瀬戸も知っていて俺だけに言わないとはどういうことだとも思うわけで。