「何よ?私が結婚したらおかしいの?」



「別に。瀬戸ならともかく、お前に彼氏がいるなんて知らなくてな」



 驚きは一瞬で過ぎ去り、またメニュー表に視線を戻そうとした時、さらに驚くべき事態が。



「朔のついでに俺も報告。俺も結婚することになった」



「……広也まで何を言い出すかと思えば。もう少しまともな嘘を吐けよ」



 俺は呆れかえりため息を吐いている中、水野と瀬戸は感極まって拍手をしている。


 真に受けたようで、頬を紅潮させて。



「おめでとう!!二人ともお似合いだよ」



「前々から、二人の相性は良いと私も思ってたの」



 興奮気味に話す二人に上原と広也は何とも照れくさそうな表情を。


 何だか、思いっきり俺だけ蚊帳の外。


 作り話ではなく本当の話なのか。



「おい。勝手に話を進めるな。どういうことだ?」



「もう。鈍感!」



 水野が俺を肘で突く。



「お前に言われたくない。上原の彼氏なんか知るかよ。広也に関して言えば、元カノを孕ませたとかか?」



 女同士で話すのかもしれないが、俺が上原のことで知っているのは大学時代には付き合っていた男がいたという昔話だけ。


 その男とどうなったのかは興味もなかったから聞いてもいない。


 因みに、瀬戸は職場の先輩と付き合っていて、広也はもう何人も付き合い別れで良くわからん。


 そう言われると、しばらく女の話をしなくなったからフリーだと思っていたが結婚ということは、できちゃった婚の可能性が高い。