あれこれ文句を言っている宮野を無視して、店員に注文する。


 サイズは妹の美玖からしっかり聞いておいた。


 俺が水野に片思いしていた頃、水野見たさに上京してきた時から二人の交流は続いていて美玖が大学生となり、東京に住むようになってからは姉貴も含めて頻繁に会ってさえいる。


 昔、指のサイズが同じだと二人が話していたのを思い出して聞いたわけだ。


 美玖に聞いたことによって、水野との結婚話が家族に広まるのは確実。


 だが、サプライズのため、水野に聞くことは憚れるのだからやむを得ない。



「榊田。本当にそれで良いの?」



 店を出ても、宮野は不満げな顔で聞いてくる。



「しつこい。あれで良いです。ありがとうございます」



「まったく、あんたは……もう知らないからね」



 何がそんなに不機嫌なのかわからないが、宮野は俺を小突いて、それ以降何も言わなかった。



















「はぁ?お前が?何かの冗談か?」



 指輪を購入した直後の日曜日。


 大学のお馴染みメンバーで会うことになっていた。


 そこではいつもと少し違うことが起きた。


 いや、かなり驚きのことが俺には起きたのだ。


 結婚すると言い出す上原にデザート選びを一時中断して、上原へと顔を向ける。


 これはまだ序章で、驚きを顔に出すほどでもなかった。


 意外ではあったが。