結局、それから三日後の木曜日。


 俺たちは仕事帰りに指輪を見に行った。


 どれもキラキラしていて、俺には違いがわからんが宮野は納得していないようだから俺は次行くわよ、と腕を引っ張る宮野に黙ってついていく。


 真剣に選んでくれているのだから、感謝こそすれ文句を言えるはずもない。



「ここが最後。あの手のタイプにはここが一番かもね。お願いだから良いのあってよ」



 人選ミスではなかったことを確信し、店に足を踏み入れる。


 宮野が店員に何やら頼んでいる中、俺もケースの中を眺める。


 しかし、こんな小さな石ころでこんな値段するなんて何とも馬鹿らしい。


 だが、このために節約をしていた俺だ。


 水野が喜ぶ指輪が手に入るならいくら積んでも構わない。



「榊田。この三つの中で、どれが良い?これが個人的には良いと思うけど。値段が値段だし」



 ショーケースから取り出された三つの石ころを眺める。



「最後くらい自分で選びなさい。予算もあるだろうし、そもそも私が選んでどうすんの」



「これにする」



 迷いなく指さす。


 宮野が一番に薦めた指輪が水野に似合うと直感的に思った。


 どれも同じみたいなのに、これは水野に似合うと思ったのだ。



「あんたね……自分で選びなさいよ。私もそこまで責任取れないから」



「これが良いって言ったの宮野さんでしょ?俺には良くわからないんで」



 宮野の一押しで、値段からしても他の二つとは違うし、俺の直観もこれだと言っているのだ、即決するには十分だ。