もう、かなり必死に。
心配させるようなことはしないでと、子供じみた指切りで完結。
水野の涙には絶対服従。
もちろん、笑顔にも。
そんな経緯で、明後日は仲良く雪下ろしが決定した。
水野の実家を訪ねることは、水野と付き合いだしてから恒例。
夏は自分の実家に帰るとして、冬は必ず水野の実家に行く。
水野の彼氏となった俺を、娘溺愛の父親は親の敵と言わんばかりに睨む。
彼女の父親が怖いと話す友人たちを情けないやつらと思ってきたが、俺もその一員に加わったというわけだ。
彼女の父親を睨みつけることもできず、ただご機嫌伺いをすることに徹するのみ。
それこそ、将来義父になって欲しいと切に願うから、今からご機嫌を取るに越したことはない。
そんな怖いおじさんだが、一応家に招いてくれるから彼氏として認めてくれているらしい。
というより、学生時代の同棲を黙認してくれた時点で親公認だろう。
大学四年の秋から、俺のアパートでの同棲生活。
今は互いに一人暮らしで、本当にあの頃は夢の世界のようだったかのよう。
それこそ、就職も決まり授業もほとんどなしで、水野と過ごす時間がたくさんあった。
一日二人きりで誰にも会わずに過ごすことだって簡単だった。
長い片思いに、付き合いだしてからのモヤモヤも帳消しにするほど最高だった。
そんな幸せを三か月味わっていたところで、水野の親に同棲がバレた。
親戚の結婚式の帰りに、水野をこっそり訪ねたのだ。