まして、高杉さんのような人が。


 仕事ができる上に、フェミニストで顔が良い。


 これまた、愛想も良くて女性社員の憧れの的らしい。


 その完璧さというか、爽やかさが仁を彷彿とさせるが、決定的な違いは性格の良さ。


 新入社員だった俺は同じフロアにいた高杉さんに仕事のことで色々世話になったが、仕事ができる男と言うこと以上に、エセ仁なのに性格が良いことに驚いたくらいだ。


 そんなこんなで、偏見を飛び越え高杉さんには信頼を寄せている。


 唯一、仁の方が上だと思うのは女の趣味。


 宮野という女は本当にとんでもない。


 仕事では有能で学ぶことは多く、下に付けたことを感謝すベきなのだろう。


 しかし、俺を毎日いじめるのだ。


 パシリにパワハラにセクハラ……


 このいじめのきっかけは俺が企画課への異動が決まった時。











 企画課への異動と、宮野京香の下に付くことが内々に言われ、同期との酒の席でその話になったのだ。


 同期、男五人で飲んでいたが、そいつら全員が俺を羨望の眼差しで見るわけだ。


 企画課への抜擢ではなく、宮野の下につけることで。



「そんなに仕事ができる人なのか?」



 企画課にいる人間だ、当然仕事ができるに決まっているが、その中でも何か偉業でも成し遂げたのだろうか。


 しかし、こいつらの不純な目の色を見抜けなかった俺が馬鹿だった。