水野の寝息を感じながら、髪を撫でる。


 やはり、不安にさせたのだろうか?


 傷付いたのではないだろうか?


 嫌な思いをしたはずだ。


 自分のせいでと堪らない気持ちになる。


 もう、待てない。


 ずっと、ずっと一緒にいたい。


 二年も待てない。


 こうして、毎日寄り添ってこいつの寝顔を見ながら眠りにつきたい。


 俺が結婚の決意をしたのはこの瞬間だった。















 月曜日、水野の弁当を持っての出勤。


 結婚の決意もできた今、仕事への意気込みも人一倍。


 サボり魔で横暴で酒癖の悪くセクハラありで、俺をコキ使うとんでもないクソ喰らえ的な先輩の言うことを素直に今日は聞ける。


 まぁ、何度も繰り返すが、サボり魔で横暴で酒癖の悪くセクハラありで、俺をコキ使うとんでもないクソ喰らえ的な先輩に今日は仕事以外でも相談に乗って欲しいことがあるわけで。


 だからこそこうして、貴重な昼休みに先輩が望む行列のできるシュークリーム店にさえ並んでいる。


 朝、頼みごとがあると言った俺にサボり魔で横暴で酒癖の悪くセクハラありで、俺をコキ使うとんでもないクソ喰らえ的な先輩……いや、もう面倒くさい。


 宮野京香は眠さで目が細まっていた目を別の輝きに変え目を細めた。


 ニヤンという嫌な笑みを浮かべて。