日曜の水野を送り届ける時の歩調はゆっくりだ。


 別れを惜しむように。


 正直、付き合いだした当初とかは三年も付き合えば俺の気持ちも落ち着くと思っていた。


 気持ちが冷めるという意味ではなく、ひたすら水野のことだけを考え、思っているような自分ではなくなると。


 水野が自分の中心にいるのは変わらないが、もう少し余裕を持って接することができると思っていた。


 意識せずとも、重たい男にはならなくなると。


 だが、四年目に入って今なお、どんどん深みに嵌っていく、溺れていく。


 失うことが恐ろしくて仕方がない。


 マイナスイオンを見くびっていたとしか言いようがない。


 一生治ることのない毒に冒された感覚。


 まさしく、中毒だ。


 そんなことを考えているうちに、水野のアパートにたどり着く。


 夜道は危ないから駅近にしろと、おじさんと仁と再三に渡って言っていたが、日曜の夜だけは恨めしく思ってしまう。


 ここで手を離し、水野が部屋に入るのを見届け自分のアパートに帰る。


 いつもなら。


 でも、今日は手を離せなかった。


 その代わりに。









「今日、泊まっても良いか?」



 こんな言葉が口を吐いてしまう。


 いつもなら抑えられるのに、今日はどうしても一緒にいたいと思ってしまった。


 水野は驚いた顔をしたが、うん、と頷いて俺を招き入れる。