「一時はどうなるかとかなり心配しましたが、仁と小春は相変わらず仲が良くて。私から見ても俊君が不愉快な思いをしているのがわかるし、理解できるしで。わかっていながら、私も娘を取られた悔しさで俊君に厳しい目を向けるばかりだし。それでも小春に愛想を尽かしたりせずに大事にしてくれて感謝しているんです。」
愛娘の彼氏として目の敵にされているとばかり思っていたから、その言葉に少なからず驚いた。
「お父さん。今は仁くんのことを話す場じゃないでしょ?」
水野の不平に首を振って、再度水野に向き合う。
「小春」
名前呼ぶ声が、やっぱり重みがあって黙って耳を傾けた。
「もしも、仁と結婚できていたなら、俊君を好きになっていたか?」
その言葉に俺は視線を下に落とした。
耳を塞ぎたいし、逃げ出したい。
けれど、立ち上がることもできない。
聞きたくない答えが水野から出るのが恐ろしかった。
その質問に水野が驚いたことが空気でわかった。

