華麗なる人生に暗雲はつきもの






「明日は俺のせいで親父たちが嫌な思いをすると思う。でも、何としても結婚の承諾欲しい」



 仲の悪い親子があえて晩餐を一緒に取るのは最終確認のため。


 水野の親と喧嘩などしないとは思うが、億が一でもあっては困る。



「お前は何を言われても仕方がない不出来な息子なんだ。謝罪以外に私が何を言うとでも」



 眉間の皺を色濃く滲ませた親父の表情は胸糞悪い。


 それでも下手に出るしかない。


 俺にとって何よりも、どんなことをしても手に入れたいものは明らかだからだ。



「どうしても俺には水野が必要なんだ。だから、よろしくお願いします」



「……何も変わっていないと言ったことは訂正する。すまなかった。良い相手に巡り合えて真当な人生をお前が歩もうとしているのはわかった。明日はしっかり決めろ」



 唖然とした俺を一度真っすぐ見て頷くと、疲れたから先に戻ると親父は席を立った。



「お父さんと俊って本当にそっくりね。あれでも我が家で一番応援しているのよ?榊田家に結婚も孫も関係ない話だと思っていたのに、俊が両方を与えてくれるんだからね」



 榊田家希望の星!と俺の背中を叩く母。


 支払いは俺持ち。


 このためのセリフだと会計の時に俺は気付いた。


 母と水野母はきっと気が合うだろう、と確信した瞬間だった。