華麗なる人生に暗雲はつきもの

『お前いまどこだ?まだ仕事か?』



 予想外の人物に一瞬の静けさ。




『……親父か。もう家だ。何、急用?』



 親父と話すのは苦手で自然と眉間に皺が寄る。


 この押し黙った空気が昔から大嫌いだった。


 気に食わないことがあると威圧的に押し黙まるのだ。


 今この瞬間も。



『今、お前の家の前まで来てる』



 不機嫌の理由がわかった。


 俺は息を吐きながら、すぐ行くと伝え、電話を切った。


 せっかくの水野との居心地の良い時間が台無しだ。


 仕事より疲れること間違いなし。


 部屋に戻ると水野が俺を見上げた。


 誰との電話か問う表情。



「親父たちが俺の家に来てるみたいだ。これから行ってくる」



 服を取り出し着替始める。


 もう風呂も入っているのだから来るなら予め連絡を入れろと毒を吐く。



「ご両親が?私も行ったほうが良い?」



「安静にしてろ。水野に用があるなら明日にでも連れてくる」


 水野の頭に


 手を置き制する。


 そんな俺の目を見据え、水野は慎重に口を開いた。