この数ヶ月で俺の人生はがらりと変わった。
復縁、結婚、妊娠、とんとん拍子。
数ヶ月前の荒んでいた自分が遠い昔のようだ
とは言っても、あの時得られた教訓を忘れたわけではない。
水野を失う恐怖など忘れられるはずもない。
だからこそ、幸せが続くように俺は絶えず努力をしていく。
これから水野と添い遂げ朽ち果てるまでずっといられるように。
そうは言っても、とにもかくにも目出度いこと。
二人で妊娠を祝して、良いお肉を買って家ですき焼きをした。
その日の夜、お袋から恒例の電話があった。
『小春さんのご両親の挨拶は決まったの?』
電話のたびに聞かれるセリフ。
俺は浮かれているのを悟られないように、努めて冷静に返す。
『水野が妊娠した』
そう言った瞬間、お袋の呼吸音が消えた。
数秒の後、大噴火が起きた。
『な、な、なんてことを!!どうして、あんたはいつもそうなの!?』
いつも?
孕ませたのは水野一人だ。
意味がわからない。
そのまま思ったとおりに返すと。
二次噴火が起きた。
『何、ふざけたこと言ってんの!?何てことしてくれたのよ!!』