正直に言えば心当たりはあった。


 あの日だ、確実に。


 水野の突然の来訪に、俺は何もかもを忘れるほどテンパっていた。


 あの日、俺はいつもならば抜かりなく行うことを怠った。


 そんなことは頭の中になかった。


 その時は頭の中になくても、少しすれば思い出しそうなものなのに、浮れまくっていた俺は忘れたまま。


 昨日、水野に告げられて思い出した。


 水野はもっと前から気づいていたのだろう。


 申し訳なくて俺は水野に何も言えなかった。


 突然のことで不安でいっぱいだっただろうし、俺に伝えるのも勇気がいったと思う。


 そんな水野の気持ちが察することができる。


 それに、水野が仕事にやりがいを感じているのも知っている。


 妊娠に困惑しているだろう。


 子供は欲しいけれど、水野の要望を最大限に取り入れようと決めていた。


 水野のキャリアを積む機会をどんなに俺が協力しても奪ってしまう。


 本当に申し訳ないと思っている。


 でもそれ以上に俺が申し訳なく思っているのは……