結婚報告も瞬く間に社内に広まった。


 情報拡散器の宮野の力は偉大だ。


 俺を嫌う筆頭の先輩でさえ、萌えたのか……


 俺の肩を抱きながら、良かったな、嫁さんに今度こそ捨てられないように尽くせよ、と祝いの言葉を言われたくらいだ。


 驚き桃の木だ。


 一番喜んだのは課長。


 光り輝く頭以上に涙を光り輝かしながら流し喜んでくれた。


 もう秋だというのに鬱陶しくて暑苦しい、と思ったのは内緒だ。


 俺の結婚を純粋に喜んでくれたのは一割。


 残り九割は課長自身の心労から解放される喜びだ。


 宮野曰く、俺が残業し過ぎで厚生課に小言を言わる。


 だが、俺の残業を下手に止めて会社を追い出したら、赤信号のスクランブル交差点に飛び込むことを本気で恐れていたらしい。


 課長、安心して良いですよと伝えるように、俺は結婚報告の際、笑顔でこれからは定時で帰ります、と言った。


 俺が残業しないで困るのはキリギリスの宮野だけ。


 俺を恨みがましい目で見る宮野。




「小春との仲を取り持った礼はないわけ?破局~振られてしまぇ~」



 怨念が籠もった言霊が恐ろしく、少し手伝うことにした。