そして、今度こそ部屋を去って行った。


 閉じられたふすまを見ながら、俺は思った。


 水野の部屋じゃなくて、この部屋なら二人で寝てもおじさんとの約束を破っていないことにならないかと。


 別にいかがわしいことなんてしないから、認めてくれと切に思った。


 とにかく、こうして俺の機嫌はまったくもってすっかり治ってしまい、本を読む力が溢れんばかりに。


 こうして、相も変わらず、水野に振り回され続けている俺なのだ。













 初詣では俺が水野を独占した。


 あかりを抱っこするのが、毎年の俺の恒例であったが、ここは縁結びの神社。


 水野と手を繋いで置かなければ、仁と水野がいちゃつき縁結びの神様が間違いかねないから恒例は却下だ。


 俺が水野の手を取った瞬間、おじさんと仁が奇声を上げた。


 だが、恨めしそうに涙目で睨むだけで何も言わなかった。


 それは、水野が本当に、本当に、嬉しそうに笑ったからだと思う。


 水野の笑顔を見てしまうと、何人も何も言えなくなってしまうのだ。






 おばさん以外。


「なら、片方は私と繋ぎましょう」



 にっこりと手を取られた。


 さすがはおばさん。


 水野とは別の意味で適わない相手だ。


 とにかく、そんなこんなで初詣終え、カップルで行くと上手く行くとか何とかのご利益があるのか疑わしい喫茶店はあかりと三人で行った。


 俺が抱っこをしなかったから拗ねてしまって、一緒に行くと泣いたため三人になった。


 それでも、親子連れに見られて気分は上々。


 四年後に結婚と言わずに、あと二、三年で結婚して、四、五年目で子供もありだなと思った。