天下泰平とはこのこと。


 水野の作る朝食も全部食べた。


 正確には夕食のおかずであったはずの肉じゃがも食べた。


 その分量は四人前は軽くあったが俺の胃袋に収まった。


 三合炊いたご飯もなくなり、水野は俺の食欲に最初は笑顔だったが最後の方は食べ過ぎだと言った。


 食べ過ぎなわけがない。


 ずっと食べていなかった水野の手料理だ。


 これぐらいでは足りない。


 しかし、俺の腹には限界があり、畳の上に寝転がっている。


 そんな中、水野は俺の散らかった部屋を片していく。


 二度目の洗濯も終わり、ベランダへ向かう水野を仰向けのまま視線だけで追う。


 ぐ~たら旦那と働き者の妻の図。


 一足先に新婚生活を送っているよう……


 そこで俺は、はっ、と我に返る。


 のんきに夢見心地ちに浸っている場合じゃない。



「水野!!」



 俺は起き上がり水野を呼ぶ。


 ズボンがキツい……さすがに一度で食べ過ぎたのかも。