「おはようございます」
「……おはよ」
宮野が来て席を立ち、頭を下げてあいさつをすると、宮野が目を見張ったのが見なくてもわかった。
「先ほど、技術部に先週の報告書を出してきました。改善については技術部が調整でき次第、再度話し合うように伝えてあります」
「そう。法務部の件は?精査できてるの?」
「遅くなりましたが、メールで送りましたので確認お願いします。問題ないようでしたらすぐに対応に移ります」
俺を値踏みするようにジロジロ見る宮野。
そして、久方ぶりに恒例の笑みが浮かべた。
俺をコキ使う時に楽しく意地の悪い笑みを。
「本当に遅い。仕事が溜まりまくりよ」
「明日が期限……」
「期限前にやるのが当然よ」
「期限ギリギリに俺に押し付けたくせによく言……」
「この支払い報告書を纏めて、事務の子使って良いから、50部コピーして各部門へ配布午前中ね」
「あとHWE社の立川さんに立ち合いの日程調整連絡ね。向こうが突いてくるだろうところについては資料も用意して抜かりなく」
宮野の机の上の紙束が俺の机にまるごと移動される。
万年片付かない宮野の机が綺麗さっぱりだ。