「ほら、あんた宛ての手紙よ。本当に今時古風よね。流行りかしら?会社のメールなんて筒抜けだし、こういう古風なのが確実なのかもね」


 俺が席に着くと直出から帰社した宮野は、自慢と言わんばかりに長い脚を組みながら、俺へと手紙を突き出した。


 俺は、先ほどの高杉さんの話から、水野からの手紙だと思い、ひったくるように取る。


 だが、手に取った手紙の文字は水野ではなかった。



「最近、あんた呼び出しにも応じないから手紙で気持ちを伝えようとする子が多いのよね。派遣の子なんか、まったく接点がないから焦ってるしさ。見ず知らずの子にまで頼まれる始末よ」



 俺がため息をつき、投げ捨てるように手紙を机に置くと、トランプを並べるかのように何通もの手紙を並べていく。



「捨ててください」



「あんたがそんなだから、私が頼まれるのよ。私の顔を立てて全部読んで返事をする」



「今、本当に参ってるんです。他人を気遣う余裕なんてありません」



「でもさぁ~前のあんたならともかく、今のあんたに何の魅力を感じるのかしら?」



 俺の言葉は無視され、苛立ちを隠さずに宮野は俺の椅子を蹴った。