「俊君……予想通りだったけど、でもやっぱり残念」



 仕事帰りに佳苗へとの待ち合わせ場所に行くと、俺の姿を見て佳苗はため息をついた。


 自分も情ない姿にうんざりしている。


 実際、食事は喉に通らないし、睡眠もこの時期特有の偏頭痛が過去類を見ないほどで嘔吐を伴う。


 病院で処方される薬も一時的で、上司が光り輝く頭部を下げながら頼むから残業せずに帰ってくれと言う始末。


 最初の頃はのん気に俺の失恋を笑っていた周りのやつらも引いているらしい。


 お前でも振られるのか!と笑っていた職場の人間が陰気で不幸なオーラを纏っている俺にドン引きだと、高杉さんが言っていたのだ。


 そんな高杉さんは、俺に触れると不幸が感染するという噂で一瞬、俺の肩を叩くのも躊躇をしたのを俺は見逃さなかった。


 しかし、その感染の恐怖を乗り越えて俺の肩をしっかり叩き、言うのだ。



「小春は前のところに戻ってくる。詳しい話は京香に聞け」