悪魔たちにでさえ、俺は縋るために俺は飛ばしかけた意識を取り戻す。
「……言われとことは全部直すし、彼氏としてまともになれるように勉強するし、指輪も別のものを見つける。水野の考えを汲み取れるように努力する。だから、水野に伝えてくれ」
「いやさぁ、連絡したんだけどさ、お兄ちゃんと別れたばかりだから顔を合わせずらいって言われてね」
俺との繋りを全て断ち切りたいのだろうか。
水野がそれを願うならば仁は全面的に支持をする。
元々、俺と付き合うことを快く思っていなかったのだから、水野の気持ちが離れた今、遠慮することなく俺を排除する。
結ぶのは難しくて、断ち切るのは簡単で、それを再び繋ぐのは……
それが俺と水野の関係だ。
水野と仁の二人の関係を断ち切ろとしたから、こんなことに。
水野の大事なものを認めなければ、水野と一緒にいることができないのをわかっていたはずなのに。
「……師匠にも小春にもお前の気持ちは必ず伝えてやる。だからその捨てられてた犬の顔はやめてくれ。さすがの私も気味が悪い」
「私もお兄ちゃんが、ふか~く、海よりもふか~く反省していることを小春ちゃんに伝えるし、死ぬほど小春ちゃんのことが大好きなことも伝えてあげるからさ」
「よしっ!!俊!!今日の夕食は焼肉だ!!」
「あっ!!いいね。その瘦せ細った身体をどうにかしないと」
あれほどまでに俺を苛め楽しんでいた悪魔たちは、俺が奈落に沈んだのを見届けたからか、消えて行ったようだ。
だが、どちらにしても焼肉なんて喉に通るはずがない。
水野と食べる飯以外通らない。
俺はふらふらと夜道を彷徨い帰った。
頭痛と吐き気が襲う。
もう、どう生きていけば良いのか、誰か教えて欲しい。