「邪魔すんな」



 結婚のための活動は俺が独断でやっていることで、水野には関係ない。


 だが、やっぱり水野は無神経だと思う。


 恋人として無神経だ。


 だから、こいつに当たっても問題ない。



「あっ、ごめんね。集中してるのに邪魔してごめんなさい」



「そう思うなら、とっと出ていけ」



「あのね。明日、初詣行くから夜更かしは控えてね」



 初詣があるのは毎年恒例で俺も参加していたが、今年はというか今は行きたい気分ではない。



「別に、俺は行かなくても良いだろ。運転手もいるしな」



 どうせ、明日だって仁べったりで、仁のことを祈るに決まってる。


 そんな姿は見たくない。



「え?毎年恒例じゃない」



「必要ない。毎年行ってるんだから、今年は行かなくても」



「今回は違うところ行くことになったのよ。ちゃんと出店もあるし」


 出店に一瞬だけ心動かされたが、ほんの一瞬。


 俺の機嫌は悪いのだ、出店ごときで誰が行くか。



「美味そうなものあったら買って来いよ」



 でも、ちゃっかり土産を頼んで置くところがさすがは俺。



「どうして来ないの?やっぱり人混みが嫌?」



「ああ。嫌だ」



「それじゃ、人混み少ないところにするから行こう?」



「さっき仁に行きたいって、ねだってたところに行くんだろ。勝手に行ってくれば良いじゃねぇか」



 自分で言っていてイライラする。


 本当にこいつの無神経さにイライラする。