俺は姉貴連絡取る同時に共通の友人の一人である上原にも連絡をした。
水野の状況が知りたかったから。
そして、上原伝いにでも俺の気持ちを伝えたかった。
だが、上原の返答は時間が経っても水野の気持ちに変化はないという内容。
「あんたの名前を出しただけで遮られる。まさか、あんたたちが破局とはね」
「……………」
俺が言葉に詰まっていることにも気づかず、容赦のない上原は続ける。
「だから言ったでしょ。あんたみたいな重たい男は……もごっ…広也、ぐっ……」
どうやら広也が来ているらしい。
電話越しに、上原の口を塞ぐ攻防がなされていることが想像できた。
広也に諭されて、自分の発言の不味さを理解できたようだ。
いつも通りにからかえる状況ではないことを。
「あんた、まさか死のうとしてない?私も広也も、もちろん小夜も、小春を説得するから。早まったマネしないでよ」
俺は、頼むとだけ言って電話を切った。
本当に俺は嫌われてしまったと突きつけられた感覚だ。
オンボロアパートのドアを開けて、倒れこむように布団に突っ伏すと、俺の精神状態と同じように散らかった服の数々が。
水野に出会う前の俺のほうがずっとマシだ。
こんな生活はもうイヤだ。
当たり前にできていたことが何もできない。
そう思うのに、すぐに俺が否定する。
水野出会う前になんて戻りたくない。
あんな退屈な日々に。