「まぁ、余談ではあるけど仁の奥さんだけ違ったけどね。どこで出会ったかは知らないけど仁が惚れて自分から言って付き合い始めたみたいだし」



「仁の女を見る目だけは確かです。仁にはもったいないくらい佳苗は良い女です」



　それだけは確信が持てる。


　もしも、俺が仁より前に佳苗出会っていたなら、それなりに好きになって今までの女と同じような扱いはしていないと思う。


　それでも、水野が現れたら迷いなく水野を選ぶけれども、それでも佳苗はやっぱり良い女だ。



「まぁ、仁の目は確かだった。実際、振られたら嫌だからって最初は小春の話を封じ込めていたらしい。それが我慢できなくなって話しても、引かないで楽しそうに聞いてくれた、って感動してた」



　水野と仁の関係を認めないと、いくら佳苗が好きであっても仁は結婚しなかったと思う。


　佳苗は仁が何よりも誰よりも水野を優先するのを知っているし、それを認めている。


　俺は、わかっていてもどうしても許せなくなって、水野にその不満をぶつけていた。


　恋人として、男として好きなのは俺であっても、一番失えない存在は仁。


　許せないと思っていたが、今はそれでも構わないと思ってる。