それに気になるが、姉貴には恐ろしくて聞けないことが一つ。
あまりに恐ろしくて、口を開くことさえ躊躇いながらも、知らなければといけないと言葉を発する。
「仁と姉貴って付き合ってたんですか?」
「付き合ってはいないって本人たちは言ってた。付き合ってないのが不思議なほど仲が良かったけどな。美男美女の変態同士で」
「仁って当然モテて、何人か大学時代に彼女がいたわけだけど、すぐに破局してたから明美なら長続きしたのに、って今でも思うわ」
こんな状況下でも、ちょっとした好奇心が俺に芽生える、それは仁の弱みに繋がるかもしれないと。
「何で長続きしなかったんですか?」
「向こうから告白されて付き合うんだけど、それなりに大事にしてるし彼女扱いもしてて文句なしの自慢の彼!って感じだけど一つ欠点が……」
宮野と高杉さんで顔を見合し、深いため息を落とす。
「小学生の写真をお守り代わりに持ち歩く変態で、隙あらば小春の話。小春、小春、春の妖精よ、みたいな」
終わりはいつも、私と小春どっちが大事なの!?と聞かれ迷わず小春と即答し振られていた、と高杉さんはもう一回ため息を吐いた。
………………
馬鹿で変態男ではあるが、仁の弱みを握るには、程遠い答えだった。