「幼馴染の彼氏を半殺しか。それは異常な溺愛ぷりだな」
「恋人同士の問題に口出しする幼馴染ね。それは過保護~。何か、仁を思い出すわね」
………………
張り付いたベトベトの髪の毛をどかす手が止まる。
「確かに。あいつは異様だよな。『小春は春の妖精』ってあれはいつ聞いても迷言。……ああ、大学時代の友人に、小学生の写真を片身放さず持ち歩く危ない男がいてさ、その変態ぶりが凄くて……」
「三原仁」
間違いない。
どうしてわからなかった。
宮野も高杉さんも某国立大学の出身で、七つ上。
水野が仁の自慢をした時、その大学が出てきたような。
「………………」
「………………」
「………………」
三者三様、思考を巡らすこと数秒。
その数秒で、お互いに考えがまとまる。