俺は漫然とやりとりを聞いていただけで仕事をしていなかったことに等しい。



「……ふがいなく申し訳ありませんでした」



 素直に謝罪したが、その謝り方が気に食わなかったのか、溜まりに溜まった文句がまだあるのか。


 今度は俺の机の上のメモ帳を取り上げ、それで俺の頭を叩く。



「謝れば説教が終わるとでも思ってるの?まだまだ、あんたには言いたいことがある。メモなんか持ち歩いて、あんたはいつから爺さまになったの?」



「はぁ?あんなの一気に覚えられるわけない」



 たくさんの仕事を一気に言われたら、誰だってメモを取る。


 仕事に手を抜いたことなんて、今も昔もない。



「この間までは涼しい顔してこなしてたわ。メモなんか必要なかった。違う?金曜日はどんなことしてでも早く帰ろう、っていつも以上に張り切ってた」



「………………」



「それが今は帰りたくないからって、自分は凡人です、と言わんばかりの働きぶり。会議の司会も企画書もお粗末」



「それでも仕事は期限内にしています。それでダメなら俺は違う課に行くことも仕方ないと覚悟はできてます」



 宮野の言いたいことはわかる。