佳苗にも言われたし、正直打開策もない今、水野に会うことも連絡することもできない。
俺としては、自分の誕生日にかけていた。
もしかしたら、毎年のようにメールが来るのではないかと。
その日は仕事に集中しつつも、携帯をポケットに忍ばせずっと気にかけていた。
メールが来たら、どう返事するべきか、会えないだろうかと。
でも、昼になって夜になって、とうとう次の日になっても水野からの連絡などなかった。
わかっていても、水野から連絡が来るとしたらこの日だと思っていたから落ち込んだ。
それ以降、憑りつかれたように仕事に打ち込んだ。
会社に泊まることもあるくらいに打ち込んで、自分に何も考えさせないように追い込んだ。
顔の怪我は二週間経ったころには元通りになったし、腹も普通に動く程度には痛まなくなっていた。
見える傷は癒えていき、それに比例し、水野のことをふと思い出すことも少なくなっていった。
「あの、隣、良いですか?」
弁当を作ることはしなくなった。
仕事が忙しくて、そんなことをしている余裕はない。