「あやまるの!ぱぱいってたもん。わるいことしたら、ごめんなさいしなさい、って」



「謝って済むことじゃないんだ」



「ほんきであやまったら、あいてをゆるさないとだめ、っていってたもん!こはるちゃんはしゅんくんをゆるさないとだめっ!」



 俺が受け取らないと見ると、あかりは自分で水野の番号を押し始めたから、慌てて奪い取る。


 まったく、仁の教育の賜物だとは思いたくないが、あかりは賢く良い女に育っているらしい。



「あかりの言う通りだな。直接謝るから。ありがとう、あかり」



 俺がそう言うと、涙腺限界と俺の足にしがみ付いて泣き出すあかり。


 将来あかりを泣かせる男が現れたら、八つ裂きにするのではないかと、そんな予感を新たに胸に秘めた。