そして、俺には今日のあかりが疫病神の娘に見える。


 座敷童の世界一可愛いバージョンだと思っていたあかりだが、仁の娘だと初めてはっきり確信が持てた。



「悪ふざけもいい加減にしなさい、仁!紫芋パンマンにしたのは仁でしょ!?俊君、痛くて夜もほとんど眠れなかったんだから」



 佳苗が仁をびしっとお玉で指すと、あかりの目は仁へと向き。



「ぱぱが、しゅんくんをなぐったの!?ぱぱ、きらい!しゅんくん、かわいそうっ!」



 あかりはソファーに飛び乗り、背伸びして俺の顔を撫でる。



「いたいのいたいのどんでけぇ~しゅんくんのいたいのいたいのとんでけ~」



「そうよ。仁に飛んでけ~仁に飛んでけぇ~」



「……佳苗さんとあかりさん。とっても寂しんですけど」



 その情けない声に親子はプイッとそっぽを向いた。


 こんな、何の変哲もない当たり前のような幸せが欲しかった。


 水野とそんな幸せを築いていきたかったけど、俺では無理だったのかもしれない。


 一晩、仁に言われたことと自分の行動を照らし合わせた。