「プレゼントだけじゃなく、日頃から、デートにも連れて行かないというお粗末ぶり」
「遊園地だとか水族館に行ってる」
あかりの面倒を見ながら三人で出掛けるているのは仁だって知っているはず。
「あかりと一緒にだろ?二人きりで行ったことがあるか?」
「水野が仁の家としか言わないからだ」
「小春が、小春が、それしか言えんのか。何で、小春が言うことしかお前はしてやらないんだ?どうして、小春が喜ぶことを自分で考えようとしない?」
「それでも、水野は不満なんて何もなかった。顔を見ていればわかる」
自分の至らなさを痛感するけど、水野はそんな俺の隣にいてくれた。
「自分の都合の良いように見えただけだろ?お前からしたら、外に出るなんて面倒くさいもんな。小春をベッドに連れ込んで過ごせたほうがずっと良いよな」
「………………」
「おいしいご飯を作ってくれて、プレゼントは適当で良いし、良いもの貢いでくれるし、デートはせがまれないで、自分の欲を満たしてくれる。こんな素敵な彼女はいないよな?」
「……俺はそんな風に水野を見たことはない。俺が水野を好きになったのはそんなことじゃない」
俺が水野のことをそんな風に思っていないことなんかわかっているくせに。
仁は俺の気持ちを逆なでするように、ねっとり絡みつくような視線を向けてくる。