「ドライヤー、キッチンマット、耳かき。これは何だかわかるよな?」



 水野にやった誕生日プレゼントだ。


 本当に物欲がなくて、誕生日プレゼントに欲しいものを毎年聞いて返ってきた答えがこれら。


 毎年、もっとしっかり考えろ、と怒る。


 それはそうだろう。


 こんなものを誕生プレゼンするなんておかしい。


 ネックレスだとか服だとか言うべきだ。


 しかし、水野の返答は、だってそれが一番欲しいものなんだもん、という答え。


 終いには喧嘩になるのも毎年恒例だった。



「俺はもっと違うのにしろ、って毎回言っている。あいつが悪いんだろ」



「小春はお前に誕生日プレゼント聞いたことがあるか?もしも聞いたとして、お前が小春と同じような返答して、それをそのまま渡すと思うか?」



「………………」



「小春はお前みたいなくだらない男のために、何か月も前から考えてる。お前が喜ぶもの、似合うものって毎年時間をかけて一生懸命考えている」



 毎年、財布だとか時計だとか、仕事用のカバンだとか。


 いつも良いものをくれる。


 それは値段という意味だけでなく、俺の趣味に合うもので毎日身に着けていて、しっくり来るもの。