「お前が小春のことが好きなのはわかってる。次の女に活かせるよう特別ダメ出しをしてやるか。もう、小春は無理だぞ」



「………………」



「俺の言うことなら聞く?お前は小春が俺の操り人形だと思っているのか?耐え難い侮辱だな」



 それでも水野を動かせるとしたら仁だけ。


 仁は自分の影響力を過小評価しているのか。


 嫌というほど、俺は見せつけられてきたからわかる。


 こんな終わり方をしたら、もう仁しかどうにかできない。


 だから、俺は何もかもを、最低限、人として保ちたかったプライドさえ捨てた。



「小春はしっかり自分で考えて行動できる。そういう女だろ?お前なんかにもったいない。何もわかってないお前なんかには。お前は小春に求めるばかりで、小春が何を求めてたか考えたことがあったか?」



「俺は水野を大事にしてきた。誰よりも大事にしてきた」



「馬鹿。何、当たり前のこと偉そうに言ってんだ。本当に、馬鹿。大事にしてきただけで何もしてこなかったから、振られたんだよ。というか、大事にしてたなんて、良くも言えるな」