「後日佳代の部屋に行くと、置手紙があった」というとおじいさんは鞄の中から紙を出した。
そこには「私には好きな人が出来ました。その人と生涯の人生を一緒に歩むことを決断したため、この家を出ます。今までお世話になりました 佳代」と書かれていた。
父と母は私と同じ問題を抱えながら駆け落ちをして生涯をともにし、私と弟を産んで、自分たちの家族を作り、貧乏だけど幸せな家庭を築いた。
私と彼が本当に運命の人だったなら、両親みたいに駆け落ちをして一緒になったかもしれない。
だが、家族を捨ててまで一緒になる勇気がなかった。
だからそれまでの関係だったのかもしれない。
私はそう思った。

