「私たち夫婦は長年子どもに恵まれなくて、佳代は私たち夫婦にとって待望の子どもだった。だから私と妻の美代は佳代を大切に育てた。そして3歳から22歳まで名門私立鳳凰学園に通った。」

鳳凰学園は良家の令息や令嬢の中でも優秀な生徒しか通うことが出来ない学校だった。

「え、お母さんはお嬢様だったのですか」と私は疑問に思った。

「世界の西園寺グループの1人娘だからな。長期休みは海外の学校に留学させて様々な経験をしていた」

お母さんのたまに浮世離れした部分は幼少期の影響かと私は1人で納得していた。

「佳代は私が決めた婚約者と大学卒業と同時に結婚する予定だった」とおじいさんは悲しそうに言う。

「だが、佳代は大学卒業式が終わり卒業パーティーに出席してから家に帰ることはなかった」