ピンポーンと呼び鈴が鳴り、私は玄関に向かい扉を開けた。

するとそこには知らない60代くらいのおじいさんが立っていた。

「佳代の幼い頃にそっくりだ」とおじいさんが言った。

「・・・」
佳代とは私のお母さんの名前だ。
お母さんの両親は事故でなくなったから母の親類は1人もいないと母から聞いていた。

「どちら様ですか」と私は尋ねた。

「佳代の父だ。要するにお前の祖父になる。」とおじいさんは言った。

「母は両親は事故で亡くなったため、自分は天涯孤独だと言っていました」と私がおじいさんの目を見て言うと、おじいさんはため息をついた。

「お前の両親は駆け落ちをしたため、帰る家がなかったのだ」とおじいさんは昔のことを思い出すかのように言った。

「両親が駆け落ち...」私は驚きを隠せなかった。

「お前が知らない両親の話を私がしよう。その前にお線香を上げたいから家にお邪魔せてもらうぞ」とおじいさんは靴を脱ぎ、家にあがった。