ああ、俺は本当に馬鹿だ……。こんな時にこの気持ちが「恋」だと知るなんて。上原のことをずっと愛しいと思っていたなんて……。

ハアッと俺は大きく息を吐く。涙が頬を伝った。勢いで走り出したものの、空港まで間に合いそうにない。

キョロキョロと俺は辺りを見回す。すると、客待ちのタクシーを見つけた。俺はすぐさまタクシーに乗り込む。

「空港まで。思い切り急いでくれ!三十分で行けたら一万円支払う!」

「わ、わかりました!!」

どうやら、俺の乗ったタクシーのドライバーはお金好きだったらしい。思い切り飛ばしてくれた。

約束通り一万円をドライバーに支払い、俺は空港の中を走っていく。北海道行きの搭乗口へと迷うことなく進んだ。ここまで来たんだ。俺もきちんと言いないことを言う。じゃないと、ここで終わってしまう。後悔してしまう。

空港を走っていく俺の目に、薄紫のワンピースを着た女が映る。その人に向かって俺は叫ぶように声をかけていた。

「上原!!」