「大丈夫か?」
そう言いながら、俺は右手の親指以外の四本の指先を、左胸と右胸の順に当てる。上原が泣きながらも頷いてくれたことにホッとした。
「行こう」
俺は上原の手を掴み、前田たちは無視して歩いていく。メモ帳もきちんと回収した。
「ありがとう」
上原はそう言い、涙を何度も拭う。しかし体の震えが収まっておらず、俺は上原の肩に優しく触れた。初めて触れた肩はとても華奢で柔らかい。
「無事でよかった」
その時、鏡に映った俺の頰が赤く染まっていて、ますます不思議だったんだ。
上原に対する嫌がらせは、俺が生徒指導に言うとあっさり解決した。もともと問題児の集まりのようなグループだったため、グループの何人かは謹慎処分をくらっていた。まあ、俺にとってはどうでもいいことだ。
上原との距離は、前田たちの事件の後にさらに縮まったような気がする。この点では、前田たちには感謝すべきかもしれない。
遊園地に行ったり、美術館に行ったり、カフェ巡りや映画にもまた行った。二人の時間を楽しむうちに、季節は冬になろうとしていた。
そう言いながら、俺は右手の親指以外の四本の指先を、左胸と右胸の順に当てる。上原が泣きながらも頷いてくれたことにホッとした。
「行こう」
俺は上原の手を掴み、前田たちは無視して歩いていく。メモ帳もきちんと回収した。
「ありがとう」
上原はそう言い、涙を何度も拭う。しかし体の震えが収まっておらず、俺は上原の肩に優しく触れた。初めて触れた肩はとても華奢で柔らかい。
「無事でよかった」
その時、鏡に映った俺の頰が赤く染まっていて、ますます不思議だったんだ。
上原に対する嫌がらせは、俺が生徒指導に言うとあっさり解決した。もともと問題児の集まりのようなグループだったため、グループの何人かは謹慎処分をくらっていた。まあ、俺にとってはどうでもいいことだ。
上原との距離は、前田たちの事件の後にさらに縮まったような気がする。この点では、前田たちには感謝すべきかもしれない。
遊園地に行ったり、美術館に行ったり、カフェ巡りや映画にもまた行った。二人の時間を楽しむうちに、季節は冬になろうとしていた。


