悠梨がそう言うと、紫安の目から涙が零れ落ちる。

「芽依、ごめんな……いつも一人にして……ごめん、なさい……」

紫安が泣き崩れているところを、皆は悲しげに見つめていることしか出来なかった。



「あ!悠梨!!それは、僕のだよ!」

あの件から数日後の研究所は、朝から騒がしい。

「あっはは!これは、私のだ!」

「こら!研究所で暴れない!」

悠梨と智樹が、子どもに戻ったように走り回っているのを、武が注意していた。

「おはよーございます」

眠そうな顔で、颯介が研究所に顔を出した。

「颯介くん。眠そうだね……」

「はい。夜遅くまでゲームしてまして……」

欠伸をしながら、颯介は言う。武は、呆れたように笑うことしか出来なかった。

その時、研究所に電話が鳴り響く。武は、電話に出ると、話を始めた。そして、受話器を置いて顔を上げる。

「解剖の依頼が来た。届いたら、すぐに解剖をしてほしいらしいから、今すぐに準備しろ」

所長の言葉に、皆は真剣な顔になって頷いた。

今日も、悠梨たちは死者の声を聞く。