「……彼が紫安さん、ですか?」

智樹が問いかけると、新藤刑事は「そうだよ」と頷く。

「初めまして。私は、芽依さんを解剖した監察医の浅瀬 悠梨と申します」

悠梨が自己紹介をすると、紫安は「本当ですか!?」と悠梨を見つめた。

「はい。芽依さんからは、彼岸花に含まれているアルカロイドという毒が検出されました」

「え……?彼岸花って、毒があるの?」

キョトンとした顔で悠梨を見つめる紫安に、新藤刑事は「知らなかったの?」と問いかけた。

「知りません!僕は、全く花に興味がありませんので。芽依は、花について詳しかったですけど……」

紫安は、大きく首を横に振る。まるで自分は殺っていない、と言いたげに。

「はいはい。とりあえず、中に入ろうか」

新藤刑事は、悠梨と颯介、智樹と紫安に中に入るように促した。紫安は、渋々と中に入る。

悠梨は、家に入るとすぐに芽依の部屋へと急いだ。そして、芽依の部屋を隈なく探す。悠梨は、芽依が彼岸花を手に持っていた理由を知りたかったのだ。

「……悠梨っ!」

悠梨と同じく部屋を見ていた智樹が、何かを見つけて悠梨に声を掛ける。

「智樹、どうしたの?」

悠梨が智樹に近づくと、智樹は手に持っていた一枚の紙を悠梨に渡した。