お父さん、心配性だからな………。
夜帰ってくるの遅いお父さんにとってはきっと。
幼なじみで創ちゃんが一番頼りになるってわかってるからだよね?
だから鍵を預けたんだよね?
………それ以外考えたくない。

「でも創ちゃん、お家の人………心配してるんじゃないの?早く帰らないとお夕飯が」

お夕飯に間に合わないよ。
そう言いたかった。
だけどそれは創ちゃんによって止められた。

「それは大丈夫。ちゃんと言ってあるから。むしろ泊まってこいって感じだったし………」

「………そう、なんだ。なんか創ちゃん。お母さんたちって明るくていいよね」

私はふっと、お母さんのことを思い出していた。
私のお母さんはおしとやかだった。
そして運動が苦手。
お母さんが作る料理はとっても美味しい。
私は好きだった。
お母さんと一緒に料理を作るのが楽しかった。
アイドルをやりながらも家族を大切にしていた。
家族を第一に考えていた。

『恋、笑って………』

「っ!?」

私の頭の中に流れ込んできたもの。
何………これ………?
お母さんの声だった。
そして………。

『嫌だ、死なないで………っ!』

きっとお母さんが亡くなった日のことだろう。
必死にお母さんにすがりついている私がいたんだ。