心臓が………痛いくらいに締め付けられる。
これは………何?

「花宮さん………?」

ーハッ

「どうかしたんですか?大丈夫………ですか?」

羽山君が私の顔を除きこんできた。
そのかおは………心配していた。
なんで私………羽山君に迷惑書けてしまうんだろう。
傷つけたくないのに………。

「ううん、大丈夫。ありがとね!」

私は笑っていった。
でも………貼りつけられた笑顔だった。

「創ちゃん、今日は部活ないんだよね?」

「あ、………あぁ」

「羽山君は何かこの後予定ある?」

「いえ、ありません………」

「じゃあちょっといいかな?」

お礼をしなきゃ。
そして羽山君に言いたいことがある。
伝えなきゃいけないことがある。
創ちゃんにも………。


ー私は何も考えていなかったのかもしれない。
二人の優しさに甘えていた。
だけど二人がどういう関係なのか。
羽山君の破かれた教科書や体にあった無数の傷。
創ちゃんの羽山君に向けられた冷たい眼差し。
私は何も知らなかった。
だから………。
知らなきゃいけなかったのに。