俯いて考え込んでいた頭を上げると、あずちゃんの優しい眼差しと視線がぶつかった。




「好きな人に会えないのは辛いよね」




「よしよし」と頭を撫でてくれるあずちゃんが、優しくてやっぱり大好きだ。


唯斗くんが羨ましいよ、まったく。




「呆れたり、しないの?」

「しないよ、だってわかるもん」




あずちゃんの口調はどこまでも優しくて、ちゃんと私を慰めようとしてくれているのが伝わる。


でもそれだけじゃなくて、やっぱりあずちゃんも恋する女の子なんだなって、そう思った。



橘くんに会いたい。


でも、…これ以上嫌われたくないから、用がないと会いに行けない。


でも、やっぱり会いたい。




「でもさ、美憂」

「なーに、あずちゃん」

「橘くんと連絡先交換したって喜んでなかった?」



不思議そうに首を傾げるあずちゃんは、綺麗に可愛いも混ざって。


いつもの逆で私が抱きしめたい衝動に駆られるけど、唯斗くんに嫉妬されたくないからやめておく。