「私は橘くんのことが、大好きなんだよ?」
何回も、何回も、伝えてきたけど、
こんなに悲しい気持ちで言ったのは初めてだよ、橘くん。
なんで気持ち伝えるのってこんなに難しいんだろう。
「春希、なんでそんなに頑なになってんだよ」
今まで黙って見ていただけだった孝太くんが、橘くんに静かに声をかけた。
さっきまであんなにおちゃらけていたのになぁ。
「…スマホ」
「へ?」
「だからっ、スマホ貸してください」
私の目の前に差し出された橘くんの手のひら。
ここにスマホを置けってこと…?
そっと、私の白い花柄のスマホケースがついたスマホを橘くんの手に置く。
すると、橘くんがなにやら打ち込んでから、
「返します」
そういって私の手元に返ってきたスマホ。

