「おはようございます、白糸先輩」




相変わらず、挨拶の時だって笑顔一つ見せないけど、挨拶をできたってことだけでこんなにも嬉しいなら、それ以上の高望みなんてしてはいけない。

そりゃ、笑いかけてくれたら失神するくらい嬉しいに決まってるけど、失神したらそれはそれで橘くんを困らせてしまうだろう。

だから、これがちょうどいい。




「これ、約束の問題集だよ」




私がそう言って渡したのは、昨日橘くんが私たちに見せたもの。

もちろん、私のは滲んでないけれど。



「ありがとうございます」



橘くんが私が差し出したものをぺこりと頭を下げてから手に取る。

律儀だなぁ、偉いなあって、橘くんの一挙一動に感心してしまう。