16話「血の味」



 璃真が死んだと決定されてから、空澄は目まぐるしい日々を送っていた。
 死亡届けや葬儀の準備、会社を退社したり、璃真の会社にも出向く事もあった。
 そして、警察署にも行かなければいけなかった。本来ならば、白骨遺体のDNA鑑定が行われた後に魔女になった事の登録をしなければならなかった。だが、前回は空澄が不安定な状態で、とても詳しい話しなど出来るような精神状態ではなかった。そのため小檜山はその話しは後日行おうと提案したと、希海から聞いていた。


 そんな忙しい日々の中でも、フッとした瞬間に璃真がいない事を感じ、悲しくなったり、泣いてしまう事もあった。空澄は自分でも不安定になっているのを感じていたが、それを止められることなど出来るはずもなかった。
 そんなどうしようもない空澄を支えてくれたのが希海だった。泣いている時はさりげなく隣に座ってくれたり、手を繋いでくれたりした。泣き腫らした後は「お腹空いたか?」と普段通りに接してくれる。
 そんな彼の温かさに何回も救われたのだった。