いつも考えることは、どうしてこんな生活になったのだろうという事だった。
 ありふれた生活を繰り返し、璃真と過ごす毎日。それは穏やかで、変わりのない日々だったかもしれない。
 いつかはどちらかが結婚してバラバラになるのだろうと思っていたけれど、まさかこうやって全く違う世界に飛び込む事になるとは思ってもいなかった。
 璃真がいなくなってしまった事は突然だったけれど、魔女になると決めたのは空澄自身だ。
 魔女になって、璃真がいなくなってしまった理由を突き止めるためにこの世界に飛び込んだのだ。


 「それなのに………何をしてるんだろう……」


 いくら必要な事とはいえ、璃真に好きと言われていたのに、璃真の事を知るためにキスをしてしまうのは、どうなのだろうと悩んだ事もあった。
 けれど、璃真に告白されたけれど、空澄は彼と付き合うかと言ったらそれはたぶんなかったように感じていた。
 璃真が姿を消さなくても、きっと断っていたと思うのだ。大切な幼馴染みとしか見られなかったのだ。
 だから、気にしなくてもいいとは思いつつも、後ろめたさは感じていた。

 ごろんと体を横にして目を瞑る。すると枕の変わりにしていたクッションから希海の香りを感じた。
 今では、その香りが空澄をドキドキさせ、そして安心感も感じさせてくれる。

 たった数日しか一緒にいないが、希海の存在は大きくなっているのを感じていた。