しばらく魔力の譲渡のためにキスを交わした後、いつものように全身の力が抜け、空澄はうっとりとした視線で彼を見つめてしまう。それは、魔力を取られてしまい体が動かなくなってしまったのだと空澄は考えていた。
 キスに酔ってしまったわけではない。そう思いたかったのかもしれない。


 「ん………溜まってきた。ありがとう」
 「うん………」
 「また、しばらくここで横になってるか?」
 「うん」


 希海は空澄の頭を撫でた後、秘密の地下室から出ていく。それもいつもと同じだった。
 空澄は気だるく、そして熱をおびた体が落ちつくまで、ソファで横になる事にしていた。
 そのまま、彼と話していても恥ずかしくなってしまうと思ったのだ。それに、この部屋はとても静かで考え事をするには最適だった。